和歌山市の文化財・遺跡

多宝小塔

詳細情報

    読み仮名 たほうしょうとう
    指定 市指定文化財 歴史資料
    指定日 令和4年(2022)3月31日
    時代 江戸時代
    地区 雑賀・和歌浦・名草地区
    所在地/所有者等 紀三井寺/護国院

     2段の基壇(きだん)上に安置される木製宝塔(ほうとう)で、屋根の頂(いただき)には火焔宝珠(かえんほうじゅ)を置く相輪(そうりん)を具え、上層の軸部は円形で、亀腹(かめばら)の上に回縁(まわりぶち)・高欄(こうらん)をめぐらしています。初層の軸部は方形で、四方の観音開(かんのんびら)きの扉には葵紋(あおいもん)を、長押上小壁(なげしうえこかべ)・方立板(ほうだていた)等には龍等の彫り物を配するなど、桃山期以降の建築彫刻の技法が取り入れられています。
     初層には火焔宝珠型舎利容器(しゃりようき)をはじめとする舎利容器を安置し、上層には奥書(おくがき)に紀州藩第7代藩主宗将(むねのぶ)の生母永隆院(えいりゅういん)の菩提(ぼだい)を弔(とむら)うために宝暦13年(1763)に造立(ぞうりゅう)したこと、紀三井寺中興(ちゅうこう)の方常上人(ほうじょうしょうにん)によって供養(くよう)されたことが記された宝篋印陀羅尼経(ほうきょういんだらにきょう)が安置(あんち)されています。
     このように桃山期以降の建築彫刻の技法を取り入れた大型の多宝小塔の優品として貴重であるだけでなく、江戸時代における紀三井寺と藩主との関わりがうかがえる作例として極めて重要であるといえます。