和歌山市の文化財・遺跡

水軒堤防

詳細情報

水軒堤防
  • 水軒堤防 石堤の南端部分
  • 水軒堤防 移築された石堤
読み仮名 すいけんていぼう
指定 国指定文化財 史跡・名勝
指定日 令和元年(2019)10月16日
時代 江戸時代
地区 雑賀・和歌浦・名草地区
所在地/所有者等 西浜/和歌山市

〔種別〕史跡

 紀ノ川の南岸の西浜に築かれた南北約1.0kmに及ぶ江戸時代の堤防跡です。明治及び昭和の文献資料により、紀州藩初代藩主徳川頼宣の命を受け、寛永年間(1624~1644)に朝比奈段右衛門が工事を担当し、13年の歳月をかけ完成したものとされていましたが、その後の道路拡張に伴う発掘調査により、18世紀後半の築造であったことが判明しました。また、堤の北端部・南端部の確認調査により、堤防は海側に石堤、陸側に土堤を併せもつ非常に強固な構造体であり、高さは石堤が約4m、土堤が約5mで、基底部の幅は推定で24m以上にも及ぶことが考えられます。
 築造の背景として、堤防東部の地域が、古代以来の名勝である和歌の浦と一体となった「吹上」の地であり、藩主が遊覧したり別邸を築いたりした西浜の地であることから、防潮とともに景観保持の目的であった可能性も想定されています。なお、道路拡張時の発掘調査により確認された石堤は、上部の6段まで(全体で16段のうち)が、南海水軒線の水軒駅跡地の水軒公園に移築保存されています。

〔写真〕堤防、石堤の南端部分、移築された石堤

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