地蔵菩薩立像
詳細情報
読み仮名 | じぞうぼさつりゅうぞう |
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指定 | 市指定文化財 美術工芸品 |
指定日 | 令和3年5月17日 |
時代 | 鎌倉時代 |
地区 | 雑賀・和歌浦・名草地区 |
所在地/所有者等 | 和歌山市紀三井寺/宗教法人護国院 |
穏やかで端正な相貌(そうぼう)を持ち、右手に錫杖(しゃくじょう)、左手に宝珠(ほうじゅ)を持って踏割蓮華座(ふみわりれんげざ)上に立ち、画面左上から飛雲(ひうん)に乗って飛来(ひらい)する地蔵菩薩像です。輪郭を金泥(きんでい)の隈(くま)で立体的に
表した雲斗(うんと)や精緻な截金(きりかね)文様を施した着衣(ちゃくえ)、錫杖や装身具などを彫塗(ほりぬり)であらわすなど、全体的に華やかさの中に静謐(せいひつ)な趣を湛えるなど鎌倉時代後期仏画の特色がよく表れています。鎌倉時代には六道救済(りくどうきゅうさい)の仏として地蔵菩薩への信仰が高まり、特に南都(奈良)では、春日三宮の本地仏(ほんちぶつ)を地蔵とすることもあり、地蔵菩薩像が多く造られました。
なお、宝珠を高く捧げ、雲斗にのる点などから快慶の地蔵菩薩像の系譜を引くと考えられます。地蔵菩薩立像は令和元年~2年度に実施された調査により新たに発見された和歌山県内における数少ない中世仏画の優品であるだけでなく、中世における紀三井寺と南都との関りが窺(うかが)える遺品として極めて貴重です。