和歌山市の文化財・遺跡

弥勒菩薩坐像

詳細情報

    読み仮名 みろくぼさつざぞう
    指定 市指定文化財 美術工芸品
    指定日 令和5年
    時代 鎌倉時代
    地区 雑賀・和歌浦・名草地区
    所在地/所有者等 紀三井寺/護国院

     紀三井寺の本堂内には須弥壇(しゅみだん)上の宮殿型厨子(くうでんがたずし)のほかに4つの脇壇があり、この弥勒菩薩坐像は左脇壇(わきだん)の阿弥陀如来坐像(あみだにょらいざぞう)の脇侍(わきじ)です。
     引き締まった頭部の輪郭に眦(まなじり)の切れ上がった溌溂(はつらつ)とした風貌(ふうぼう)を示し、体部では節々にやや緩(ゆる)みがあるものの緊張感を残すことなどから、鎌倉時代後期(13世紀末~14世紀初頭)の菩薩坐像として優れた水準の作行(さくい)きを示すものであると考えられます。
     また、令和元年~3年度に実施された「紀三井寺悉皆(しっかい)調査」により紀三井寺と京や南都との関りの深さが確認されており、本作はこうした中央との関りが窺(うかが)える遺品としても極めて重要です。