和歌祭祭礼所用具
詳細情報
読み仮名 | わかまつりさいれいしょようぐ |
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指定 | 県指定文化財 美術工芸品 |
指定日 | 平成23年(2011)3月15日 |
時代 | 江戸時代, 明治, 大正, 昭和以降 |
地区 | 雑賀・和歌浦・名草地区 |
所在地/所有者等 | 吹上 和歌山県立博物館/東照宮 |
〔種別〕工芸
紀州東照宮では、徳川家康の命日(4月17日)に、春の祭礼である和歌祭が行われています。今日でも、「雑賀踊」「餅搗踊」「面掛」など多くの練り物行列が行われていますが、江戸時代には舞楽や田楽などの芸能も奉納されていました。
和歌祭祭礼所用具は「常装束」に分類される舞楽装束類、特定の舞楽の曲目に使用される装束や楽器類、舞楽とは異なる芸能に関する道具類の3種に分類されます。このうち、袍・半臂・下襲・表袴・踏掛・鳥甲等からなる「常装束」は右方(半島系曲目・緑色系装束)、左方(大陸系曲目・赤色系装束)ともにほぼ10組ずつ確認され、和歌祭の楽人装束として使用された可能性が高いものです。「常装束」は染織や刺繍の技法的特徴が大阪市天王寺舞楽所用具と近似することから、和歌祭に舞楽が取り入れられた寛永7年(1630)頃の製作と考えられます。また、「新靺鞨」「林歌」の装束に関しては、拝領装束として紀州東照宮に伝来したものとみられます。
これらの拝領装束は、「和歌祭祭礼御行列書」の文政8年(1825)の条に「林歌」の曲目が掲載されていること、文政期の第十代藩主徳川治宝が雅楽や舞楽を愛好したことから、文政期に制作された可能性が高いと考えられます。
〔写真〕半臂、鳥兜 、常装束部位名称図