千手観音立像
詳細情報
読み仮名 | せんじゅかんのんりゅうぞう |
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指定 | 市指定文化財 美術工芸品 |
指定日 | 令和5年(2023)3月28日 |
時代 | 室町時代 |
地区 | 雑賀・和歌浦・名草地区 |
所在地/所有者等 | 紀三井寺/護国院 |
紀三井寺の本堂厨子(ずし)前に立つお前立ちの千手観音立像です。
頭部をやや小さく表し、一見すらりとした細身ですが、体躯(たいく)の抑揚(よくよう)を強調しないブロック状の体型で、眦(まなじり)の切れ上がった意志的な風貌(ふうぼう)や裙(くん)の折り返し部の衣の端(はし)が細かく揺(ゆ)らぐ表現など、南北朝時代の作風をよく示しています。特に像表面を赤味がかった染料で染め、檀像(だんぞう)風に仕上げる檀色の技法を用いていることは特徴的で、秘龕仏(ひがんぶつ)千手観音像が素木(しらき)仕上げであることを踏まえた選択とみられます。
令和元年から3年度に実施された「紀三井寺悉皆(しっかい)調査」により確認された、和歌山市域では類例の少ない貴重な南北朝時代(14世紀半ば)の等身大の作例です。